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2008.10/24初稿
2009.01/24、03/17, 05/13、10/19 12/29、2010年01/14、3/27、8/19
2011年03/02、07/12、7/30、8/22、10/09、11/01、2012年01/19改訂


2012年 世界経済の動向とオーストラリアへの留学、ワーホリについて





 もう昔話になりつつありますが、2008年9月以降、アメリカのサブプライムローン問題をきっかけに世界の金融に激震が走りました。それに続く世界経済不況(日本では「リーマン・ショック」と呼ばれていますが)によって、オーストラリア留学等についても影響がありました。円豪ドル相場が乱上下したし、倒産する学校や留学エージェントもあったし。

 この項は、その当時、渡豪を考えている皆さんに対し関連するレベルでの考え方を綴ったものです。以後、刻々と状況が変わり、変わるごとに補充の補充をしていましたが、そろそろ一段落したので再整理します。

 リーマンショックという一時的な影響は少なくなりましたが、それを引き金にした欧州の通貨不安、アメリカや日本の経済情勢は不安定なままです。不安定なまま2011年8月以降アメリカがまたグラついてきています。この原稿も、最初は一時的なトピック記事だったのですが、経過を追って改訂しているうちに「世界経済と留学」という凄い大きなテーマの話になってしまいました。

 そんな「世界経済」なんて大それたことを考えなければ留学は出来ないのか?といえば、いや、出来ますよ。ご心配なく!でも、知っておいた方が得です。就職状況などもガラリと変わりつつありますしね。世界経済の大きなトレンドは今後しばらく続くでしょうし、「海外体験」「語学力」ということが、今まで以上に実際的な大きな意味を持つようになってきてます。これまでは留学やワーホリというと、「ホリデー」という語感が示すようにどこかしら趣味的で遊興的なニュアンスがありましたが、今はもう「就活アイテム」「人生を組立てるツール」方向にシフトしつつあります。

 細かな話はまた書きますが、大事なのは「なぜそうなるのか?」という原理と応用部分です。はっきり言って世界経済がある程度わからなかったら、なんで日本は景気悪いのか?なんで自分の給料は上がらないのか?なぜ日本企業がどんどん外国人を採用しはじめているのかという大きな流れが分からない。それが分からなければ人生の針路も立てにくいでしょう。やっぱり知っておいて損はないです。

 さて、能書きはこのくらいにして本論、いきます。



1.何が起きているのか?世界経済危機とは何か?


 以下に述べるのは、世界経済危機に関する一般的な説明であり、月日が経つにつれ”歴史的経過”でしかなくなっていきます。この際、順次事柄を正確に理解したい方のみ「続きを表示させる」をクリックして読み進んでください。

サブプライム・ショック(リーマンショック)

 今回の世界経済危機の発端となったサブプライム問題は、実は2005年時点から発生しており、2007年の6月にアメリカのベアスターンズ傘下のヘッジファンドが破綻して世界的に大騒ぎになってます。このときは、今と同じように世界中の中央銀行が資金注入を行い、初期のパニックは抑え込まれました。しかし、サブプライムは「ウィルス」「時限爆弾」などと呼ばれるほど経路が複雑で、実態が見えず、感染した機関が破綻するまでのタイムラグがあるといわれていました。

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なぜ、「百年に一度」と言われていたのか?〜「時代の気分」
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不況の連鎖 第一次ドミノ倒し

 ここまでは金融経済のレベルの話で、実体経済までいきません。銀行とかファンドなどの金融機関や、そこに預けていた投資家が火だるまになっただけです。また、日本は十数年前のバブルの後遺症をまだ引きずっていたのが幸いして、この種の金融火遊びをそれほどやっていませんでしたから、この時点では殆ど無傷といって良いでしょう。しかし、金融という血液に障害が発生すれば身体がマトモで済むわけもなく、金融経済→実体経済へという不況の拡大が起きます。これが不況のドミノ倒しであり、ドミノが倒れるための第二のタイムラグが生じます。

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第二次ドミノ倒し

 このあたりから次のドミノが倒れ始めます。巨大な輸出企業がビンボーになることで、数千・数万という単位で存在する下請企業や関連企業にも影響が走ります。また、減産体制においては、設備投資=新たに工場を新設するとか、工作機械を新規購入するというムードもグッと冷え込みます。09年1月のドミノ移動地点は、大体このあたりだったでしょう。例えば2009年1月23日付報道によると、「粗鋼400万トン減産 下半期、過去最大規模」などという記事がありました。

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第三次ドミノ倒し

 金融経済(第一次)→実体経済(第二次)に続き、第三次に波及するのは「基礎体力」だと思います。国家財政の健全さや国内企業の競争力が試されるようになる。

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なんで日本が不況になるの?
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2011年状況と震災後の日本


 世界経済でいえば、経済危機の余韻は地下で不気味にくすぶり続けているだろうと思います。また、ギリシアやスペインなどの欧州の国家財政もヘロヘロのままでしょう。アメリカもここ数年、経済的には四苦八苦しています。日本はといえば、累積する財政赤字と少子高齢化という厳しいメインフレームがドンと存在しています。いわゆる先進諸国はどこも大変です。が、2008年の経済危機という突発的な事態は時間が経つごとに解消され、その代わり、国々がもともと抱えている問題点が浮き上がってきた、という構図でしょう。

 また、経済危機があったからといって、より大きな世界的なトレンドであるグローバリゼーションが止んだわけではありません。むしろ加速されているでしょう。中国、インドなどのBRICs諸国の台頭はほぼ確定的になり、より安い人件費と生産費、より広大で美味しい市場を求めて国際企業がしのぎを削るという図式です。これは先進諸国の市民にとっては一般にキツイ状況です。安い国に工場(+職)が移転するから、先進国では恒常的に空洞化が起き、職はどんどん減っていくし、お金の巡りも悪くなる。なにしろグローバリゼーションそのものが先進国から発展国への富の移転を意味するのですから、先進国にとっては原理的にあんまりイイコトないです。

 もっとも先進国の大企業は、国内労働者の首を切って、海外で安く生産し、それを世界で売りさばいたり、国内に安価な製品を逆輸入して売ったりして儲けますから、最終的な利潤はブーメランのように本社のある先進国本国に入ってきます。しかし、それで潤うのは莫大な役員報酬を貰っている一部のCEOなどエリート層だけだったりして、一般庶民は失業するわ、給料上がらないわ、デフレで苦戦するわでいいとこなしです。つまり、二極分化がどんどん激しくなっていく。普通に真面目にやっていた中流層が没落していく。格差社会化は何も日本の専売特許ではないです。オーストラリアも数字上は景気良いのですが、それもこれも中国が鉄鉱石を買ってくれるからであり、社会本体のフレームとしては結構暗鬱で、陽気なオーストラリア人も内心では穏やかではないです(Essay 521:変わりゆくオーストラリア人の自画像(別窓)参照)。

 とか何とか書いているうちに、世界経済危機のパート2(GFC2)が始まるとか、イギリスで暴動が起きるなどしています(ESSAY 527:斜陽貴族の戦略とGFC2ESSAY 528:イギリス暴動について思うこと)。


 しかし、嘆いていたって話が進まない。環境が変わったときになすべきことはたった一つ、「適応」です。

 大企業においては、中産階級の凋落により日々やせ細っていく国内市場よりも、日々拡大していく海外市場を狙うでしょう。中小企業もその波に乗れるところは乗る。日本と海外との連携が密になれば、海外で働く日本人や日本で働く(優秀な)外国人も増えるし、その間を媒介するビジネスも新規に立ち上がっていくでしょう。一方、新たに豊かになった国々からはニューリッチ外国人が日本にお金を落としてくれるでしょう。また時代がこうなれば、経済的成功よりも精神面に比重をおいた生き方を好む人も増え、それもまた新たなビジネスになるでしょう。他にも山ほどありますが、それらを柱として全産業が再配置をし、必死に「適応」していくようになると思います。

 一方、各国政府においては、グローバリゼーションによる富の偏在(階層化)を中和するために所得の再配分が求められるでしょう。が、あんまりやりすぎるとそれを嫌って企業が外に出て行ってしまうのでその加減が難しい。また、経済危機を乗り越えるために緊急避難的に大規模な救済をやったこともんだから、これが段々各国家の財政負担としてのしかかってきます。そのうえ高齢化や国内所得の低下のために生活保護その他の支出が益々増える。苦しいところですが、これも「適応」。

 さて、東北大震災後の日本経済ですが、まだそれを語るのは時期尚早でしょう。サブプライムのときでも原因(2007年)が生じてから実際に世界経済危機に発展するまで1年(2008年9月リーマンブラザース破産申請)、日本に影響が出始めるまで数ヶ月(2008年年末の派遣村)、さらに一般市民が肌身で感じるようになるまでさらに1年(2009年10月日本デフレ宣言)くらいかかってますから、今回の震災もその影響がわかってくるのは2011年遅くになってからだと思います。

 マイナス要素としては、地震そのものの被害の他、救援費用その他でもともと破綻寸前だった国家財政がさらに悪化するという長期的な問題があります。まあ、財政赤字も1140兆を越えてますから(リアルタイムにはここ(別窓)を参照)、このくらい借金がふくらむと今更ちょっとばかり増えても大勢に影響はないという喜んでいいのか悲しんでいいんだか分からない状況もあります。それに赤字国債を国内で消化できるうちは問題ないという人もいます。このあたりは諸説入り乱れてます。

 プラス要因としては復興需要です。神戸地震の時もかなり景気を支えてくれましたし、今回もあれだけの被害を復旧しようというのですから、それだけの景気にはなるでしょう。そのあたりのプラスとマイナスがないまぜになって、よう見えてきません。とりあえず震災後3か月目〜半年くらいは、震災によって緊急停止していた日本中の生産やビジネスが、状況に慣れてくるにしたがって急ピッチで復元しようとするでしょうから、仕事も大忙しになるところもあるでしょう。が、それは復興というよりもただの復元ですから、本当の震災の影響がボディーブローのようにきいてくるのは、やっぱり2011年の秋以降から2012年かなという気がします。そのときに復興景気がどれだけ沈下にブレーキをかけるか、です。

 ただ、これにツイストをかけているのが原発問題で、原因そのものが現在進行形なので、この先どうなるかは状況次第でしょう。問題点を分ければ@放射能とA電力不足で、前者は福島県をはじめとする復興の遅れと長期的損失を招き、それが国庫負担に跳ね返り、景気に影響します。また、お金を持ってきてくれる海外からの客足にも影響するでしょう。後者の電力不足(節電)はより見えにくい形で経済に影響を与えます。もともとが海外流出を考えて浮腰気味だった各企業が、電力不安→操業不安で一気に海外に出ていき、空洞化がさらに加速されうるからです。東京から大阪に拠点を移した企業が、関西でも節電になるので、さらに海外に出ているという話も聞きます。

 結局、原発部分が巨大なブラックボックスになっているのでよう分らん、というのが今のところの結論です。ただし、仮に地震も原発も何も起きなかったとしても、財政赤字+グローバリゼーション+少子高齢化という絶対条件は何も変わらないわけですから、今回の地震でそのトレンドが加速されるのか、減速されるのかといえば、まあ加速されるだろうな、とは思います。あんまり明るい話ではなくて恐縮ですが。

 しかしですね、経済は理屈のようで理屈じゃないです。「人間の感情」というもっと巨大なブラックボックスがあります。今回の地震でビンタ食らったみたいにシャン!となったり、人生をより深く考え直したり、人間的により好ましい方向に作用することもあるでしょう。それが経済に何らかの好影響を与えることもあると思います。例えばそれまでダラダラ生きてた人が、大災害を目の当たりにして、「俺だって明日死ぬかもしれないんだよな」とリアルに思い当たり、「こんなことやってちゃダメだ!」で一念発起して精を出して仕事をしたり、勉強に打ち込んだりしたとします。その人が伸びた分、日本のトータルの労働生産性や国際競争力はアップするのですから、プラスに作用するでしょう。まあ、惨状を目の当たりにして虚無的になってしまう逆のパターンもあるでしょうから、何とも言えないですけど。願わくばプラスに作用してほしいものです。

 以上、いずれにせよ「原発」「人のココロ」という二重のブラックボックスを抱えているので、今すぐ直ちに「こうなる」とはよう言えないというのが現状だと思います。


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