よくある質問と回答
97年03/20、99年04月、2010年04/06、08/28、2011年01/04、06/21改訂


オーストラリア移住の方法
 Part 4 基本パターンと組み合わせ





戦略と戦術(その2)  よくある基本パターンと組み合わせ


★永住権優先でいくか/ステップアップ方式でいくか

 いきなり独立永住権がバシッと取れてしまうならば問題は少ないです。最初にビザ問題をクリアしてしまえば、そのあとの組み立ては大幅に楽になってくるでしょう。取れるものなら取りたいところですが、年令的限界、ボーダーラインの難易の推移、前提スキルの熟成(英語力、学歴、実務経験)の慎重に判断して−−−−というか自分で考えるのも限界あるでしょうから専門の業者さんにお金払ってコンサルティングして貰うなりする。で、勝算アリとなれば打って出てみることになりますが、勝算が薄いの場合、こんなところで玉砕してても始まらないので、簡単なところから徐々にステップアップしていく戦略になるでしょう。

 具体的には、例えば労働ビザのスポンサードしてくれる雇用主を探すことがメインでしょう。めでたくスポンサーになってくれる雇用主に出会えたら、とりあえず2年の労働ビザが下ります。延長が通ればさらに2年というわけで、時間が稼げる。もし、2年なり4年なりの期間住んで見て、案外と住むには面白くないわ、面白いけどもう飽きたわ、飽きてはないけどもっと面白いこと見つけたわ、ということなれば、話はそこで終わりですね。めでたく一件落着でしょう。数年で飽きるかどうかはやってみなきゃ分からない話で、結果的に2年で飽きるものに苦労して永住権取る必要なんか全然ないですもん。

 それでも尚長期的に住んでみたいということになると、やはり労働ビザが切れる前に、永住権にステップアップしなければなりません。方法としては、その労働期間の実務キャリアをもとに独立永住権を獲得するか、あるいは特定の雇用主にとって無くてはならない人材として見込まれることによって雇用者指名永住権を取得するか、です。

 これが基本的なパターンと言われますが、ここから逆算できることは、後々の永住権ステップアップまで頭に入れて最初の雇用関係を結ぶ、あるいは、同業ないし類似業他社に転職できるような汎用性の高い分野をターゲットにするなど。その雇用主が、まず絶対に雇用者指名なんかしてくれそうもなかったら、そこに長居してても時間の無駄ということもありえるでしょう。労働ビザといっても、他にスポンサードしてくれる雇用主がいれば、途中で転職すること(スポンサーの交換)は可能ですし、そうそう珍しいことでもないですので、次なるステップアップを念頭におきつつキャリアを磨いたりコネクションを広げたりということになろうかと思います。

★「はじめの一歩」をどうするか


 しかしですね、若干話は前後しますが、この最初の一歩たる「労働ビザの雇用主探し」ですけど、これがそう簡単に見つかるものでもないです。雇用者も慈善事業でスポンサーになってるわけではない。それに日本に居ながらにして、現地の企業から「是非君に来て欲しい」なんて言われるチャンスなんか、待っててもそう来るものではないでしょう。そこで、さらに遡って、雇用主探しのためにオーストラリアに滞在するということになるでしょう。例えば、ワーキングホリデーなり、語学学校や大学その他の学生ビザを取るとか。その滞在期間でなんとか目鼻をつけるというわけですね。大学などで高度なキャリアを身につけ、そこを武器にスポンサーになってくれる所に就職するというテもあるでしょう(なかなか難しいけど)。

 なお高級キャリアをみっちり積もうとするならば、むしろ一旦迂回してイギリス、アメリカのケンブリッジやハーバードクラスで修行して箔をつけた方が、オーストラリアでモノをいうかもしれません(領域によって違うでしょうけど)。そういう発想だってありうると思います。

 いずれにせよ、最終目的のために自分のキャリアを考え、オーストラリアの就職事情あるいはビザ事情を考え、どういった方針が最も成功確率が高いかを考えておく必要があるでしょう。そのためには、現地の人材斡旋業者などに予めコンサルティングを受けるという手段も有用だと思います。多くのビザ代行業者さんは同時に人材斡旋業もやっていたりしますから(隣接産業なのでしょう)。将来的に全く展開する見込みのない領域で頑張っているというのもツライものがあります。

●利益衡量●

 では、以上の点を踏まえて、総合的に、あーでもないこーでもないと利害得失を考えてみましょう。

 大学行くのもいいですが、勉強はハードですし、学費も年間100〜200万と馬鹿高いうえに、時間が経つほど「(独立移住ビザの要件としての)直近の実務経験期間」は相対的に少なくなるというデメリットがあります。語学学校にしても、半年で60万前後でしょうか、安くはないです(ただしコースの組み合わせによれば40週で一年滞在出来るなどの”やり方”はありあます)。反面、現地を知りつつ長期的戦略を考える時間、コネつくりの機会(居ればすぐに出来るというものではないが)、なによりも必須な英語力を養う機会など、日本にいては中々得られない貴重な機会でもあります。僕もこのルートから入りましたが、現地も知らず「暮そう」という決断は出来ないなと思ったからですね。で、とりあえず行ってみたら、これがメチャクチャ面白かったからマジになって考え始めたという。

 逆に、スポンサーになってくれる雇用主が見つかった場合は、いきなり収入付きで暮らすことが出来るのでそれはそれでラッキーなのですが、今度はその領域に縛られてしまい、自由に絵が描きにくくなるという側面もあります。例えば、最初に○○業界でバイト採用され正社員に格上げになった場合、滞在期間の日常の風景も、積まれていくスキルも人脈も同じ○○業界ということになります。それが好きな人はいいですけど、本当はアーティスティックなことをやりたいという人にとっては、道がねじれちゃってますから、どこかで又軌道修正しなければならないという宿題を背負うことになります。またそこでの業界スキル&キャリアが、独立移住永住権で求められるスキルと違うような場合も問題でしょう。

★考え方の具体例(1) ストレートに永住権が取れそうな場合の戦略

 メールで沢山相談を受けますが、まず、現在のキャリアでストレートで永住権が取れそうな場合は、「まだ退職しないように」と釘を刺しつつ、専門業者さんへのご相談をオススメします。なぜかというと、「直近の実務経験」(申請直前○年間のうち○年間稼働)条件があるので、下手に退職してしまうとタイムカウントが始まってしまうからです。あとから述べるように英語点獲得は容易なことではないです。時間がかかります。英語をやってる間に、スキル点がタイムオーバーにパーになってしまったら目も当てられません。だから、もう渡豪ギリギリまで在籍すること。

 次に専門業者さんに相談し、緻密に査定して貰いましょう。その結果、今のキャリアでスキル点が取れそうであり、あとは英語点を取れば永住権GO!の場合は、死に物狂いで英語をやるべきです。IELTS6点はハンパではなく高いです。現地の語学学校で半年や1年やったくらいで行けるかどうかすら微妙です。ましてや7点になると何をか言わんやです。しかしスキル点の直近実務経験のタイムカウントが始まりますから、もう退職してオフィスの机を片付けたらその足で空港に直行くらいの感じで語学留学すべきでしょう(最初は観光ビザで入れば良い)。

 英語さえ出来ればいいのですから別にオーストラリアでなくても、イギリスでも米国でもいいですが、イギリス英語をベースとしたIELTSでは米語ではなく英語系がいいでしょうし、留学費用が安いということを考えれば結局オーストラリアかな、という気もします。それに実際に住んだ方が何かと便利ですし、住むことで「なんだこんなもんか」と幻滅して、そもそも永住権を取る気がなくなることも無いとは言えないのですよ。そーゆーことは早く分かった方がいいでしょ。

 日本で英語が勉強できたらいいですが、多くの場合、効率という点で悪すぎます。24時間英語環境に身を置き、毎日ボコボコにされてるくらいでないと、英語なんかなかなか身につきません。このケースでは、とにかく時間がない!ので、山籠もり超人修行くらいのハードなことをしないと間に合わないです。ただし、IELTS試験そのものは日本で受験した方が点が高いという傾向があるようです。なんせオーストラリアで受験すると、英語の猛者がゴロゴロしてますから。だから語学留学のうえ、帰国して受験、と。


★考え方の具体例(2) ステップアップ方式の場合の戦略〜意外と使えるワーホリビザ

 これまでの経験から、「最初はワーホリから入る」というのが、意外と最も有用な戦略だということに気づきました。なんかワーホリというと、「ホリデー」という語感から緊迫感がなく、「甘い!そんな遊び呆けている場合か!」って気になるのですが、そういう考え方こそ甘い!

→続きを表示させる
 

★ダメだった場合/「成功」とは何か?

 こんなこと言うのは何なんですけど、最終的にオーストラリア移住計画は失敗に終わったとします。また日本に帰らなきゃならないという場合に、それでも、「まあ面白かったからいいか」と思えるかどうかもひとつのポイントでしょう。結果として失敗に終わったとしても、少なくとも「やりたいことをやった」わけであり、それを満喫できていれば「大成功」とも言えるわけです。

 これは、僕自身の特殊な価値観かもしれませんが、目的−手段、過程−結果といっても、見方を変えたら時系列上の一点にすぎないわけで、過程において楽しめれば結果において楽しめなくてもOKという場合も結構あるのではないかと。過程時点である「2008年3月22日という1日」と、結果時点である「2013年5月10日という1日」を比べれば、「1日」という意味では同じではないか。未来の1日の方が現在の1日よりも無条件でエラいというものでもなかろう。要は、積分みたいなもので、全期間を通じて、「楽しいなあ」と思える長さと深さを総合的に掛け算してみて、それが最大になるかどうかではないかと思うのですね。

 個々人の死生観にも関わるのですが、僕なんかは「結果なんかどーでもいいじゃん」って思う傾向があります。勿論、一定の絞り込まれたターゲットがあった場合(司法試験合格とか、いいシェアを探すとか)には、全知全能を振り絞ってありとあらゆる手を打ちまくるし、夜も寝ないで必死にやります。でも、ポーンと視点をパンすれば、「どーでもいいちゃどーでもいい」ことだと思ってます。結果結果というけどさ、最後の最後の本当に最後の突き当たりにある最終結果は「死」でしょう?人は誰でも死ぬのだ。何をどうやっても、それが誰であれ、結果は同じ。だとしたら、過程でしょう。プロセスでしょう。過程やプロセスが絵本体だとしたら、結果などは過程を飾るガクブチみたいなものです。甲子園で優勝した高校球児は嬉しいでしょう。でも、彼らにとって一生の宝になるのは、優勝という結果ではなく、そこに至るまでのキビシイ練習であったり、仲間との連帯感であったり、端的に青春そのものだったりします。それらご本尊を麗々しく飾るために優勝という結果があるだけ。そりゃガクブチがあった方が絵は引き立つけど、それだけのことでしょう。どっちが主で、どっちが従か。

 また結果を考えるにあたっても、「大成功した場合」という「仮定」と比較しても始まらないと思います。正しく比較すべきは、同じだけの期間「あのまま日本に残って、今の生活を続けていた場合」でしょう。3年なら3年、会社に留まり、仕事も深まり、収入も増え、キャリアも積んだという場合と、知らない土地で孤軍奮闘してきた3年間で、長い目でみてどっちが自分の人生において「ええ感じやったね」と思えるかどうかですね。これはもう各自の価値観の問題ですから、あなたにお任せします。It's totally up to you.

 同じく、結果を考えてみた場合、再び日本に戻った場合、どれだけの「お土産」を持ってかえれるかという視点もあるでしょう。英語技術だけでなく物の見方/世界の見方も変わってるかもしれません。ひっくるめて「世界大学」に留学してたと考えることもできるかもしれません(学位も賞状もないですけど)。その経験をその後の展開に活かせるかどうかという視点もあるでしょう。

★先のことは分からない

 何度か触れましたが、「人の気は変わる」ということです。あんまり詳しく戦略立てすぎても、将来になったらコロっと気が変わってるかもしれません。見えている風景も違っているでしょうから、その時点で自分がどう思うかなんて分かったものではありません。

 「どうしたもんかな」でシドニーの町を悩んで歩いてたら、ひょんなことから現地のオージーと熱烈な恋に陥ってしまって、そのままゴールイン。あっさり永住権が取れちゃったなんてこともあるかもしれません。そして、その頃には永住権取得なんかどうでも良くなってるかもしれません。

 そうかと思ったら、やっとオーストラリアの現地企業に就職出来たら、いきなりスリランカ駐在を命じられたりすることもないとは言えないですよ。

 それに、やっとの思いでオーストラリアの永住権を取ったものの、数年暮した後に(期間はそれぞれだけど)、また日本に帰ってしまう人達もかなり多いんですよ。

 オーストラリアでしばらく楽しくもハードな日々を送れば、自ずと人生観が変わってきたりもするでしょう。僕も変わりました。日本にいるときは「将来」とかいうと、なんか真っ暗な底なしの井戸みたいに、「俺はどうなっちゃんだああああ!」とエコーがかかるような思いをするときもあったのですが、こちらにきてしばらくすると、そのエコーがかからなくなり、しまいには「まあ、何とかなるんじゃないの?てか、何とかするわ」って感じに自然と落ち着きました。ある程度のところまで言ってしまうと、別に日本だとか、海外だとかあんまり思わなくもなります。どこにおっても自分は自分、それだけだ、みたいに達観してきますよ。まあ、人によるとは思うけど。

 人の考えや価値観は変わります。必ず変わると言ってもいい。恋に落ちたら考えも変わり、結婚したらまた変わり、上司が替わっただけでも変わり、子供が生まれたら激しく変わり、大病を患ったらまた変わるでしょう。人はそれを「成長」と呼んだりもします。だから、「永住権」とか「永遠」の「永」がついてますけど、実質的に意訳すれば、「とりあえず今のところは」「終期を設定しないでおきたい」くらいの感じでいいと思います。

 幾ら考えても未来予測には自ずと限界もあります。これまた自己例をひいて恐縮なのですが、僕の場合は、詰めて考えていっても、情報不足でどうしても読み切れない場合には、「それは○年後の俺が何とかしてくれるだろう」と未来の自分に振っちゃうことにしています。最初半年だけ語学留学に来ることを決めた時点でも、それから先のことは、ま〜ったくの白紙状態でした。だって、その頃はこんなサイトもないし、情報なんかゼロでしたから考えたくても考えようがないのですね。で、「考えても分からんものは考えるだけ無駄」「それは半年後の自分にお任せ」で、吹っ切ってました。

 しかし、そうであっても、全体のフォーマット、手段目的の序列をしっかり把握しておくことは有意義だと思います。なぜなら、ここがハッキリしていたら、ちょっとばかり情況が変わっても、その場その場で「よし、じゃあこうしょう」と方針の変更/修正が比較的容易に出来るからです。永住ビザが取れないことが確定しても、「要はここに存在できたらいいわけだろ」「別にオーストラリアじゃなくても、インドネシアでも面白い人生が待ってそうだな」とか、フレキシブルに対応できるようになるでしょうし、対応できた方が楽しいですよね。

 棒を飲んだような硬直的な計画一本だけでは、ちょっと事情が変わっただけでもう対応できなくなる恐れがあります。その意味も込めて、今回のFAQは「このビザはこう」とかいう各論情報以上に、総論的な「ものの考え方」に力点を置いて述べさせていただきました。

 ご健闘をお祈りします。




オーストラリア移住について INDEX
第一の関門:VISA
ビザの原理原則/技術独立移住永住権/頻繁に変わるビザ規定/専門業者さん/その他の永住権/永住権以外の労働できるビザ
第二の関門:生計
ビザ用のスキルと生計用のスキル/「日本人」というスキル/世界のオキテ/オーストラリア仕事探しサイト内リンク
戦略と戦術(その1)
フォーマット設定/欲望のディレクトリ〜永住権だけが全てではない、手段と目的を明瞭に意識すべし
戦略と戦術(その2)  よくある基本パターンと組み合わせ
永住権優先でいくか、ステップアップ方式でいくか/「はじめの一歩」をどうするか/利益衡量/ストレート永住権の場合の具体的戦略/ステップアップ方式の場合の具体的戦略〜意外と使えるワーホリビザ/ダメだった場合〜あなたにとっての「成功」とは何か?/先のことは分からない/

関連&参考

今週の一枚ESSAYより
 「”海外”という選択シリーズ」 過去回INDEX

ESSAY 452/(1) 〜これまで日本に暮していたベタな日本人がいきなり海外移住なんかしちゃっていいの?
ESSAY 453/(2) 〜日本離脱の理由、海外永住の理由
ESSAY 454/(3) 〜「日本人」をやめて、「あなた」に戻れ
ESSAY 455/(4) 〜参考文献/勇み足の早トチリ
ESSAY 456/(5) 〜「自然が豊か」ということの本当の意味 
ESSAY 457 / (6)〜赤の他人のあたたかさ
ESSAY 458/(7) 〜ナチュラルな「まっとー」さ〜他者への厚情と冒険心
ESSAY 459/(8) 〜淘汰圧としてのシステム
ESSAY 460/(9) 〜オーストラリアの方が「世界」を近く感じるのはなぜか(1)
ESSAY 461/(10) 〜オーストラリアの方が「世界」を近く感じるのはなぜか(2)
ESSAY 462/(11) 〜日本にいると世界が遮断されるように感じるのはなぜか 〜ぬくぬく”COSY"なガラパゴス
ESSAY 463/(12) 〜経済的理由、精神的理由、そして本能的理由

ESSAY 519/放射能→海外というトコロテン式思考について - Lesser of two evils principle



★そうだ、オーストラリアに行こう?!〜時代が変わった オーストラリア留学/ワーホリ/移住の新しい局面

 
上から目線から下から目線へ〜経済状況の逆転、オーストラリアの物価高騰、本当は日本だってそうなるはずだった、コンセプトの根本的な転換を、@、お金を使う場所→稼ぐ場所、A、スキル価値の上昇、B、まずは出塁 ベルトコンベア型→ビリアード型、C、感動率上昇、実例、傾向と対策



★2011年世界経済の動向とオーストラリアへの留学、ワーホリについて

〜世界経済危機とはなにか、第一次ドミノから第三次ドミノ、オーストラリアにおける影響(語学学校や留学、ワーホリや生活面、永住権やビザ)、どう対処すべきか(円高メリットの確保、渡豪すべきか否か)、日本の市場・雇用縮小と海外シフト


★ワーホリ実戦講座(1-1)日本人ワーホリをとりまく環境変化