世界経済危機後しばらくのオーストラリアの語学学校の状況ですが、今となってはただの昔話なのでカットします。ご興味のある人だけ、クリックしてお読み下さい。
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世界経済危機直後(2008年10月から12月)の状況
2008年9月期から年末にかけては、日韓学生数はガタ減りしました。韓国の場合ウォン安という決定的な要因(渡豪費用が無条件でハネ上がる)がありますから減るのも分かるのですが、日本人学生までもが減ってます。本来、円高という10年の一度の大チャンスを迎えた日本人が減らねばならない理由は何処にもないのですが、でも減っている。興味深い現象です。直前にゲートウェイ21という大手留学業者が倒産したりしましたから、それが留学気分に冷水をぶっかけているという部分もあるでしょう。景気の冷え込みが真剣に心配されているのに留学なんかやってる場合かという。メンタル的に冷えてしまったという。
しかし、世界の連中はもっとポジティブで、不況だからこそ「よっしゃあ、今がチャンス」って思う人はいます。実際、西欧系や南米系の学生はさほど減ってもいません。このあたりは不況だから守りにはいるか、不況だからこそ攻めに出るかという民族的なメンタルの違いでしょうか。結果的に日本人比率も下がります。というわけで08年11-12月にこられた人はラッキーでした。なんせ渡豪費用はドーンと安くなるわ(50円台で交換した人もいるし)、日韓人割合は減るわですから。もともと冬時期(こちらでは夏時期)は西欧系が増える時期なのですが、今年はそれが顕著でした。またライバルも減るのでシェア探しやバイト探しも楽ですし。
世界経済危機翌年(2009年)以降の状況
2009年に入ってからですが、語学学校においても韓国勢も日本人も復活しています。しかし、いっときほどの勢いはなく、逆にそれ以外の国々、ブラジルやコロンビアなどの南米系、ヨーロピアン、東南アジア系などは順調でしょう。結果としてみれば日韓人比率が下がってきて、学校の国籍構成はかなりいい感じになっています。ちなみに、皆さんがよく行かれていた某学校の場合、10年スパンで平均をとれば日本人と韓国人が25%づつで、数年前の韓国人の留学ブームの時期は、韓国人30%日本人25%くらいでしたが、この数字もかなり修正されてました。特に日本人比率は10%切ったりしてましたね。
2010年以降、世界経済危機の直接のインパクトよりも、もっと大きなトレンドがあることが浮き彫りにされてきました。
ここから先は現場の印象ではなく、統計的に言いましょう。
移民局の資料をもとに、過去5年間、すなわち(2006年7月-07年6月末=オーストラリアの年度は7月1日から6月30日までです)、07-08年度、08-09年度、09-10年度、10-11年度の推移をみてみましょう。
まず学生ビザ(英語学校、ELICOS, Sub Class570)の発給数は、総数でいえば30,115→30,545→36,721→35,261→29,062と、上り調子だったのが、直近2年でヘコんでいます。これはいろいろな理由が挙げられていますが、経済危機のインパクトが世界に広がっていることと、さらに2010年2月に発表された学生→永住権取得というルートが大きく修正されたことも影響しているようです。(詳しくは
オーストラリア移住について参照)。
語学学校へ学生を供給するもう一つのビザとしてワーホリビザがあります。この趨勢は(詳しくは
ワーホリ実戦講座 1参照)、総数でいえば、136,422 → 154,148 → 187,696 → 175,739人となっており、学生ビザと同じく「大勢は増加傾向だけど直近にヘコむ」という傾向を示しています。
ところで、2004年あたりから急激に増加して、当時の語学学校では「どこにいっても韓国人だらけ」と言われた韓国勢の動向はどうかというと、これがまた特殊な動きをしています。韓国人の学生ビザの発行数は8,639 → 6,785 → 4,969 → 3,947 → 2707人、ワーホリビザについては28,560→32635→39505→34870人となっています。ここがちょっと面白いのですね。学生ビザについては激減傾向にあるけど、ワーホリビザについては「大勢増加、直近一休み」という一般傾向を示しています。
なぜそうなるのか?よく分からんのですが、いっときの留学ブームの沈静化、為替の関係、韓国(アセスメントレベル2)の現地での学生ビザ取得が難しくなったというビザ規制の変化など複数の要因が絡んでいると思います。メカニズムはともかく、現象面でいえば、学生ビザからワーホリビザへのシフトが起きているということです。学生ビザとワーホリを合算した絶対数でいえば4年間でやや増えているとは言いながらも、語学学校における韓国人比率は実際にはかなり沈静化していると思われますし、これは実際の僕の見聞にも合致します。「いっときほど”だらけ”ではない」と。
では本命の日本はどうかというと、日本人の学生ビザ総数は
3,709→2,652→2,699→2,576→2,412人と既に経済危機以前の段階においてガクンと減り、以後はジリ貧傾向であることが分かります。ワーホリについていえば、11,707→10,599→9,324→8,089と一貫して逓減しています。これまたどう読み解くかが難しいところですが、とりあえず両ビザ合算数でいえば4年前からガタ減り(30%以上の減少)であると言って良いでしょう。
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なお、別の資料
(移民局のStudent Visa Program Report 2010?2011 to 31 December 2010 (281KB PDF file)、さらに最新版である
Student Visa Program Trends 2004-05 to 2010-11によると、さらに長いスパンでの変化がわかります。いちいちダウンロードするのは面倒でしょうから、関連箇所をキャプチャーして貼り付けておきます。
ELICOS(英語学校)・学生ビザの国別交付数
下の表は、2003年から11年までの過去8年間における学生ビザで語学学校(570ELICOSビザ)を取得した人の国別数の増減変化です。
なお直近(-11年)の統計が、これまでと形式が違って国外/国内と分けているので従来との比較がしにくく(フランスなどは国外発給数が分からず比較できなかった)、仕方ないので分かる範囲で僕が電卓叩いて合算数を出し、注釈や増減率とともに、去年までの表に書き込んでおきました。オリジナルの最新統計は
コレです。
ブラジル・コロンビアの南米勢がもの凄い勢いで増加し、上位1、2位を占めるようになったことが分かります。8年前は両国合わせてわずか1663人だったのが、今では9047人ですから5〜6倍の伸びを示しています。
しかし、他にも飛躍的に増えている国々が沢山あります。増加率が1000%(10倍)を超える国々すらあります。サウジアラビア(13倍)、中国(13倍)、リビア(40倍)をはじめ、2倍以上を伸びを示している国だけでも、チェコ(7倍)、トルコ(3.7倍)スペイン(2倍)があります。上に表には出ていないのですが、2005年段階で1人でしかなったベトナムは2011年には339人になってますし、イタリアも46人から324人に激増しています。
一方では減少している国もあります。日本は56%減ですが、韓国も同じく58%減、台湾も約半減、タイも微減です。しかし、日本以外の国々ではその代わりにワーホリ数が激増しています。台湾ワーホリは739人→1万118人と飛躍的に伸びていますし、タイも2005年からワーホリ(正確にはWork and Holiday)が始まっています(
参考)。はっきり言って、長期トレンドでワーホリも学生ビザも両方減ってる国は日本くらいです。
全ての学生ビザの国別総数
学生ビザというのは高校や大学、ビジネス学校もあります。語学学校(ELICOS)=サブクラス570は、全体のほんの一部に過ぎません。
これでみると、
中国とインドの二極支配が鮮明になっています。なぜ語学学校では少なかった両国が、全体になるとこんなに突出しているかといえば、彼らは国を出る時点でも既に英語はペラペラだったりするからでしょう。両国合わせて約7万8806人。総数25万人中の約3分の1を占めます。日本はここでも半減していて5736人。全体の約2%です。
学生ビザ所持者の数(リアルタイムの滞在者数)
三番目の表はオーストラリアに滞在している学生ビザ所持者数です。2番目(発給数)と違い、オーストラリアにリアルタイムに滞在している留学生がどれだけいるかです。
同じ学生ビザでも、短期の語学学校ビザもあれば、長期の大学3年分のビザもあるわけで、発給数=滞在者数ではありません。長期ビザをとる人がより多い国ほど発給数に比して滞在者数が多い。長々と滞在し続けるわけですから。
これによると
さらに中国・インドの突出ぶりが際だちます。合わせて12.6万人、総数33万人の38%を占めます。
日本人は全体のわずか1.6%(16%ではない)を占めるに過ぎません(5363人)。
以上、総じて言えば、
@.学生ビザ、ワーホリビザともども長期トレンドとしてはどんどん増加している、
A.韓国勢は一時期よりも沈静化している、
B.語学学校においては南米系が多く、留学生全体で言えば中国・インドが圧倒的に多い。
C.しかしこれまで殆ど来ていなかった国々から留学生が、中印南米以上の猛烈な伸び率で増えている。
D.しかし、日本勢はほぼ一貫して減っている、
ということでしょうか。
なんのことはない、世界経済が語学学校に「影響を与える」なんてレベルではなく、その動向がストレートに反映されているわけです。
すなわち、
中国、インド、ブラジルというBRICs諸国が圧倒的な存在感を示している
ということであり、且つ、
BRICsに続く諸国がそれ以上の早さで急追してきている
ということです。
これを、オーストラリアの語学学校に行こうと考えている人の視点でどう解釈すべきかというと、まず第一に、
ここ数年でガラリと状況は変わっているということです。この傾向はさらに加速されるであろうから、これまでの語学留学の常識みたいなものはあまり通用しないでしょう。先輩の話を聞いて行ってみたら「話が全然違う!」ってこともありうる。
典型的には「日本人の少ない学校」というやつで、
今時日本人が沢山いる学校を探す方が難しいです。それはそれで結構なことなのですが、しかし統計では分からない落とし穴もあります。日本人が少なくなるとむしろ日本人同士固まる傾向があることです。
あまりのアウェイ感に圧倒され、「草の根わけても!」って感じで他の日本人を捜し出し、「少数民族が寄り添い合って」みたいに粘着性がむしろ強化されるという。嘘みたいな話だけど、僕にはその気持ちはよく分かりますし、あなたも着いたら分かるでしょう。特に最初は不安ですしね。だいたいシドニーにいる日本人留学生・ワーホリ数は激減している筈なのに、日本人を対象にしたシェアや広告の質量は別に減ってもいませんしね。
このあたりは本当に人によるのだけど、学校選びにおいては、「日本人が少なければ良い」などという時代後れのモノサシは捨ててください。既に希少価値なんか無いのですから。日本人について問うならば、「日本人の数」ではなく「日本人の質」を問うてください。学校内外の圧倒的なアウェイ感に打ちのめされて日本人同士つるむ学生が多い学校と、アウェイ感を楽しんでいる学生が多い学校です。しかしこんなことを統計的に見いだすのはまず不可能ですし、見学においてもかなりの洞察力が必要です。
だから、日本人云々に囚われず、もっと本質的な「生産的な居心地」の良し悪しで決めた方がいいと思います。例えば、「他の国の連中が固まってるかどうか」というのも一つのポイントになるでしょうし、抽象的に言えば「全体に溶け合ってる感じ」がするかどうか。そのあたりの空気感や雰囲気を感じ、自分にとって居心地の良さそうな学校を選ぶといいと思います。疎外感に苛まれず、情緒不安定にもならず、かといってダレてしまうわけでもない、「あなただけのレシピー」がある筈です。
なお、留学の次のステップ=国際的な活躍の場=を射程に入れている人は、喜んでください。理想的な環境になってきています。なにしろリアルタイムの世界の状況がビビッドに反映されているのですから、ここのメインストリームでうまくやっていくことが出来れば、世界のメインストリームでもやっていけるわけですから、練習の場としては最適でしょう。なんぜシドニーでジャパレス以外の純然たるローカルジョブをゲットするだけでも、日本人の数十倍いる世界のライバル達を蹴落とさないといけないのですから。一瞬気が遠くなりそうですが、でも、英語力と度胸如何ですが、意外と簡単に蹴落とせちゃったりするんですよね。日本人ちゃんと仕事しますから評判いいんです。ここでの経験で「戦後、なぜ日本が真っ先に経済成長したのか」という日本の強さを追体験してください。自信になりますし、それが将来的に大きな財産になります。